岸田るり子『ランボー・クラブ』(東京創元社)レビュー

本日のエピグラフ

 「一つの鍵ですべての扉を開けることができるような、マスターキーになるような遺伝子があれば可能ですね。(……)」/(……)/「いえ。幻です。あれは幻だったのです。現にそのような遺伝子は存在しないし、学会で発表されたこともありません。(……)」(P224より)

ランボー・クラブ (ミステリ・フロンティア)

ランボー・クラブ (ミステリ・フロンティア)


 
ミステリアス8 
クロバット8 
サスペンス8 
アレゴリカル8 
インプレッション8 
トータル40  


 複線的展開で、グイグイ読者を引き込む手腕の確かさ。本作に限らず、作者のアドバンテージである医学的知識が、ミステリの古典的テーマに違和感なく繋がるのは、作者がミステリアスなるものに対しての感度が鋭いからだろう。