荒岱介『新左翼とは何だったのか』(幻冬舎)レビュー

新左翼とは何だったのか (幻冬舎新書)

新左翼とは何だったのか (幻冬舎新書)



 何というか、“戦後”の歴史が見えにくい、そのように感じる一端は、“左翼”運動とは何だったのか、がこの外側にいる人間にはなかなか見えにくいことにあるように思う。まあ、“歴史”の一総括が、即メンツ争いに転じてしまう、ということはおぼろげに想像つくわけで、だから、このような本を認めるのは、本当に苦労されたと思われるわけで。ともあれ、この本で、戦後史の左側からの証言を得ることができる。まだまだ続いていると思しき内ゲバの無間地獄。これじゃヤクザの抗争とどう違うんじゃ、と嘆きたくなるけれども、さて、ヨーロッパ型の現代社民主義に転換・合流できるのは、いったいいつの日か。