有川浩『三匹のおっさん』(文藝春秋)レビュー

三匹のおっさん

三匹のおっさん


 
 人間臭さ、というものが、テレビサイズに収めている作者の確信犯ぶりを軽んじることができないのは、センチメントの共有の基盤が崩壊しているという問題意識があるからだろう。が、それがステロタイプの無反省な導入につながっている感もあり、作者のアプローチの今一度の点検を望みたいところ。もちろん、読んでいて愉しいことは確か。