瀬川深『ミサキラヂオ』(早川書房)レビュー

ミサキラヂオ (想像力の文学)

ミサキラヂオ (想像力の文学)



 改行ナシの饒舌な文体の採用が、小説世界に効果的に資しているのかどうか。様々な“物語”が交錯する、そのこと自体の重み、それがフツーの改行を適度に行使した文体では、失われてしまう、という判断があったのかもしれない。コトバの連なりが、“語り”と“重み”のあいだを行ったり来たりしているような、そんな感じにとらわれた。いい小説です。