矢作俊彦 司城志朗『犬なら普通のこと』(早川書房)レビュー

犬なら普通のこと (ハヤカワ・ミステリワールド)

犬なら普通のこと (ハヤカワ・ミステリワールド)



 欲望の交通路としての沖縄を描ききった。硬質な文体と、スピーディな展開のなかに、昏く蠢く人間たちの業をシニカルに切りとり、印象的な会話が交わされるラストまで、緊張感が緩まない。