島本理生『あられもない祈り』(河出書房新社)レビュー

あられもない祈り

あられもない祈り



 「私」と「あなた」の関係性が、一人称小説のなかの“他者”としての二人称の機制をうまく取り込み、リリカルに展開にする。「あなた」を希求するパトスと、“他者”性ゆえのその限界を、繊細にとらえている。このような冒険は今後も望みたいもの。