安萬純一『ボディ・メッセージ』(東京創元社)レビュー

本日のエピグラフ

 「この事件の犯人は兄弟なんだろうか?」/「どうしてそう思うんだ」/「出てくる人間が、全部兄弟だからさ」(p.181より)

ボディ・メッセージ

ボディ・メッセージ



ミステリアス10
クロバット
サスペンス
アレゴリカル
インプレッション10
トータル47


今年の鮎川哲也賞同時受賞二作のうち、私はこっちを取るな。選評で指摘されたミステリとしての弱点は、小説自体の持つ小気味よさでカバーされる。特に残した当人が意味を忘れてしまったダイイング(?)メッセージというネタは、マル。ホワイダニットもしくはホワットダニットに的を絞った論理パズラーとして、丁寧に作りこまれている、と思う。