近藤史恵『サヴァイヴ』(新潮社)レビュー

サヴァイヴ

サヴァイヴ



 『サクリファイス』『エデン』に続く第三弾は、スピンオフ連作だが、完全にスポーツ小説ですね。作者のソリッドでクールな文体が、時にアスリートたちの情熱を浮き彫りにし、あるいは彼らの欲望を突き放す。焦燥感、屈託、そして密やかな誇り、物語内の登場人物と作者との絶妙な距離感が、“小説”の密度を上げている。