- 作者: 北森鴻,浅野里沙子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2011/10
- メディア: 単行本
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北森のもうひとつの絶筆『暁英 贋説・鹿鳴館』とは異なり、こちらの作品は、故人の遺志を引き継いで完成された。蓮丈那智シリーズ最初にして最後の長編、かつ冬狐堂との共演『狐闇』の続編的体裁を採っている。古代律令体制と明治近代国家の誕生時の闇史が重ねられ、稗史すら鎖される宿命を負った者たちの悲劇を、歴史ディテクティブのかたちで、説得力濃く描き出した。『暁英 贋説・鹿鳴館』も示唆するように、近代日本の蹉跌を抉る北森の方向性に、ミステリとしての可能性を大いに望みたいところだった。