近藤史恵『ホテル・ピーベリー』(双葉社)レビュー

ホテル・ピーベリー

ホテル・ピーベリー



 雰囲気がいいよね。作者らしい、シニカルな心理サスペンスで、胡散臭い空気を、どこかメランコリックな小説空間に溶かし込んで、悠々と筆を進めている。情感の襞に冷水を注いでいるような、作者の視線に酔う。