- 作者: 詠坂 雄二
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2012/02/18
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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ノスタルジーとして甘い記憶とともに往年の名作ゲーム群が甦る――とは、一筋縄ではいかない。作者の作風が理由というより、ゲーム製作者としてではなく、ゲーム消費者としての時間が主題性を構成しているからだろう。仕事やスポーツや音楽をやっているときのような、いってみればビルドゥングスロマン的な“物語”の範型から逸脱するのだ。ここのところが、じつは隠れたテーマだろう。だからこそ、最後の話は重い。そしてこの話が一番最初に書かれたものであるわけだ。――そうして、作者はこの連作にオーバーラップさせるかたちで、“仕事”というもうひとつの主題性を提示するのである。心憎い。