2012年上半期本格ミステリベスト5

 2012年上半期(2011年11月〜2012年4月)、何気に話題作が続々出てきましたね。きっちりと期待に応えてくれました。この調子で下半期も……


衣更月家の一族 (ミステリー・リーグ)

衣更月家の一族 (ミステリー・リーグ)



第1位:深木章子『衣更月家の一族』
 いや、だけれども、ここまで複雑巧緻なものは、久しぶりだったなあ。痛快この上ない。次作は、いったいどんな手で攻めてくれるのかしらん。


幽女の如き怨むもの (ミステリー・リーグ)

幽女の如き怨むもの (ミステリー・リーグ)



第1位:三津田信三『幽女の如き怨むもの』
 シリーズ中の異色作になるだろう。作者が畏怖すべき対象を、怪異から不条理へと転轍させているが、小説の結構が揺らいでいないのには、感嘆を覚える。


葬式組曲 (ミステリー・リーグ)

葬式組曲 (ミステリー・リーグ)



第3位:天祢涼『葬式組曲』
 連作長編では久々に歯ごたえのあるもの。喪の仕事、というのは、思えばほとんどの探偵小説でネグられていたことなのでした。


奇面館の殺人 (講談社ノベルス)

奇面館の殺人 (講談社ノベルス)



第4位:綾辻行人『奇面館の殺人』
 綾辻印の金太郎飴だ。人を食ったギミックに賭ける情熱が、ミステリアスな美意識に直結しているのが、この人の職人性を担保しているわけである。孤高と呼ぶべき。


さよならファントム (講談社ノベルス)

さよならファントム (講談社ノベルス)



第4位:黒田研二『さよならファントム』
 ニューロイック・ホラー、からの本格ミステリということで、サスペンスたっぷりにネタ振りを愉しめますよ。久々の剛速球、じゃなかった消える魔球だね。