法月綸太郎『犯罪ホロスコープII 三人の女神の問題』(光文社カッパ・ノベルズ)レビュー

本日のエピグラフ

 「論理的な一貫性という意味では、彼女の思考と行動は完全に筋が通っているからだ。(…)」/(…)/「論理的一貫性というより、一種の循環論法ですかね。(…)」(「【魚座】引き裂かれた双魚」p.267)

犯罪ホロスコープII 三人の女神の問題 (カッパ・ノベルス)

犯罪ホロスコープII 三人の女神の問題 (カッパ・ノベルス)



ミステリアス
クロバット10
サスペンス
アレゴリカル
インプレッション10
トータル46


 まさに、真打登場の感。作者のミステリ短編集としては、一番洗練された出来だと思う。冒頭の正道本格二編はもとより、モダン・ディテクティブ・ストーリー的アプローチの冴えを見せる二編に、ホッワトダニットの逸品、そして作者ならではの奇妙な味風のサイコ・ストーリーが掉尾を飾る。論理の糸によって紡がれた犯罪の図柄の神話性を愉しみたい。