月原渉『月光蝶 NCIS特別捜査官』(新潮社)レビュー

本日のエピグラフ

 「今回の一連の事件では、基地の内と外を隔てる観念の壁が、内外の正義をも分かちました。それは真実から遠ざかる術であって、真実に寄りそう方法ではありません。(…)」(p.243)

月光蝶―NCIS特別捜査官

月光蝶―NCIS特別捜査官



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トータル45


 三作目で大化けした感。決して扱っている題材に引きずられているのではないことは、持ち前のリリシズムが失われていないことでもわかるけれども、それより探偵小説的構築性の意思が、鋭利な拮抗性となっている。ギミックが綱渡り的な印象があるのは、寛恕できる。作風をどんどん拡げていってほしい。