青崎有吾『風ヶ丘五十円玉祭りの謎』(東京創元社)レビュー

風ヶ丘五十円玉祭りの謎

風ヶ丘五十円玉祭りの謎



 なんというか、日常の謎系が作者の新境地、という版元のPRの思惑とはウラハラに、まだ若い作者が編集者からプレッシャーを受けて、短期間に何本もの短編を書き上げた、というニュアンスを感じ取ってしまうのですが、それでも、冒頭の学食の話なんかは、いかにも、というこじんまり感とはウラハラに、作者の小説の幅を拡げた感触があり、論理的な構築性が、小説を充実させる方向性は、堅持していただきたいものであります。