乾くるみ『セブン』(角川春樹事務所)レビュー

セブン

セブン



 作者の前著である短編集は、学園ミステリというフォーマットがありながら、どこか焦点が合っていない印象があった。本書はバラエティに富むが、作者のコンセプトやアイデアの尖鋭性が、物語的装置を必要としないことの齟齬が、前著であらわれたのではないか、と本書を読んで思ったのだった。と同時に、設計性の意思の貫徹ぶりが、作者の想っているのとはまた違った“奇妙な味”のニュアンスを、醸し出しているのではないか。