石持浅海『相互確証破壊』(文藝春秋)レビュー

相互確証破壊

相互確証破壊



 性愛もしくは性倒錯的シークエンスの効果が、ミスディレクションやグロテスクさや、視覚的な訴求性に重きを置いて、情愛の表象化とは一線を画す。作者の一筋縄ではいかぬギミックの構築意識をあらわに見た感じだけれども、だからこそ作者の新境地という印象はあまり受けなかったな。最後の話が、個人的にツボ。