鳥飼否宇『生け贄』 (講談社ノベルス)レビュー

生け贄 (講談社ノベルス)

生け贄 (講談社ノベルス)



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 動物生態学を伝奇ミステリに融合させた鳶山・猫田シリーズは、本作でも快調である。イカニモ的なガジェットの集積は、生半可な構築性ではどうしても飽きてシラけてしまうが、作者の筆さばきは悠々としたもの、クライマックスで期待通りの異界を覗かせてくれて満足。グロテスクさは、悪意の生態系の表象と釣り合っているのだ。