竹本健治『涙香迷宮』(講談社)レビュー

涙香迷宮

涙香迷宮



 まあ相変わらず狷介だよねえこの人は、的な。タケモト的インタレストにワタクシ的知的好奇心は今一つ反応しないけれども、なんというか細密で異型なタペストリーに魅惑される、といった感じ。でもどうなんだろう、この作者のアンチミステリ的アクロバシーの内実っていうのは、先鋭化されたサブカル意識にあるんじゃないか、とふと思ったり。ヲタクラスターがハイカルチャーへの階段を上りつつある現在だからこそ、ね。