芦辺拓『楽譜と旅をする男 』(光文社)レビュー

楽譜と旅する男

楽譜と旅する男



 作者の奇想と幻想と夢想の重畳化された迷宮世界へ彷徨うことのできるストレインジストーリー連作。アモルファスな異界への興味が、音楽芸術の魔性という主題性にのせて、人間どもの欲望を翻弄するかたちで、現実世界との境界を脱構築して行くようである。