恩田陸『七月に流れる花』『八月は冷たい城 』(講談社)レビュー





 足掛け13年の宇山日出臣の置き土産企画「ミステリーランド」オーラスは、恩田陸の二連作が飾ることになった。『蜜蜂と遠雷』が作者の到達点とすると、この連作はジュブナイルでも作風を延長できるという作者の器の大きさを、改めて感じさせる。奇想と残酷さを湛えた瑞々しい物語世界は、作者の独擅場であり、いかにもこの企画の掉尾を飾るにふさわしいものである。