深水黎一郎 『ストラディヴァリウスを上手に盗む方法』(河出書房新社)レビュー

ストラディヴァリウスを上手に盗む方法

ストラディヴァリウスを上手に盗む方法



 バラエティに富んだ短編集、といわなきゃならんか。表題作の中編は、堂々としたトリック本格で、作者の筆さばきに安心してページを繰ることができる。その次のワーグナー・オマージュのファース三編は、いかにもやりたい放題感が出てて、よいよい。掉尾の作者の処女作収録のありがたみが吹き飛ぶほどでありますです。いやはや。