蒼井碧『オーパーツ  死を招く至宝 』(宝島社)レビュー



 いやあ、今年のこのミス大賞は場外ホームランじゃないですか。昨年のゾンビ本格なんかを遥か下に見下ろすB級奇想系アクロバティック本格の快作にして怪作。どうも、他の候補作が評価が割れて、相対的に減点が少なかった本作が大賞に選ばれたらしいが、いやまあ、それでこの騒がしい作品が、という意外性も、物語の内容と同じくアイロニーに満ち満ちたものだと思えば、また楽し頼もし。連作中削除されたらしい一編が、次作になるかもしれないが、トンでもなさやバカバカしさは期待したいよね。