島田荘司『鳥居の密室  世界にただひとりのサンタクロース 』(新潮社)レビュー

鳥居の密室: 世界にただひとりのサンタクロース

鳥居の密室: 世界にただひとりのサンタクロース



 今年の御大からのクリスマスストーリーは、密室事件として帰結した、この社会の片隅の善意の行く末。ひとを食ったようなネタでも、リアリティの肉付けが過不足なく行われれば、持ち重りのある作品になる良い例だが、でもまあ、やっぱり読ませどころは、奇跡性の顕現がそのままカタルシスに直結する筆さばきだろう。