似鳥 鶏『叙述トリック短編集』(講談社）レビュー

叙述トリック短編集

　ネタが過去の某怪作とややかぶったけれども、ただ作者のアイロニカルな作風をさらにアイロニカルに捉え返したニュアンスはある。探偵小説的自意識が探偵役に焦点を結ぶのではなく、ナラティブの位相に転写されるとき、戯画的な空気を醸すのは、それは作者の自意識が隘路にはまり込んでいるからではないか、とちょいイジワルく思ったり。