島田荘司『エデンの命題』(光文社カッパノベルス)レビュー

エデンの命題 The Proposition of Eden (カッパノベルス)

エデンの命題 The Proposition of Eden (カッパノベルス)


 
ミステリアス8 
クロバット8 
サスペンス8 
アレゴリカル8 
インプレッション7 
トータル39  


 作者の先行作とのプロットの類似を指摘されるけれども、それはアイデンティティにおける“ルーツ”探しというテーマを同じくしているためだろう。私はむしろ、西澤保彦『神のロジック 人間のマジック』を強く想起したのだが。これは、同時収録された、「21世紀本格」の要求されるハードルの意味合いで書かれた「へルター・スケルター」を読むことで、より一層近しく感ぜられる。やはり、島田の関心は、最先端科学よりかは、むしろ、宗教と暴力の現代的生成=聖性の追求にあるのではないか。『21世紀本格宣言』のなかに、どうしてもアイロニカルな響きを聞いてしまうのだが。