- 作者: 篠田真由美
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2005/11/23
- メディア: 単行本
- クリック: 3回
- この商品を含むブログ (7件) を見る
ミステリアス | 8 |
アクロバット | 8 |
サスペンス | 8 |
アレゴリカル | 8 |
インプレッション | 7 |
トータル | 39 |
---|
あとがきにもあるように、植民地主義的な“視線”にあえて内在する意思=意志が、各編を貫く通奏低音である。男/女、支配/被支配、被虐/加虐、正気/狂気、そして闇と光…………これらの二項対立が、物語空間内の被造形物の、個々の有する両義性へと変容する。これは、旧“宗主”国でありながらオリエンタリズムに投射された文化圏である「日本」の両義性に対応する。デュラスのオマージュ「象牙の愛人(ラ・マン)」は、この文脈があるからこそ、必然性を帯びるのだ。――「植民地は女である」(法月綸太郎)のなら、「日本」は? という問いを喚起せずにおかない「双(ふた)つ蝶」、“純和風密室”の変奏である「暗い日曜日」等、佳品七編。赤江瀑 、皆川博子、服部まゆみ等の先達もさることながら、やはり河野多恵子の作風との差異線を探ってみたくなる。