2007-01-04 森見登美彦『きつねのはなし』(新潮社)レビュー 作者名マ行 きつねのはなし作者: 森見登美彦出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2006/10/28メディア: 単行本購入: 21人 クリック: 602回この商品を含むブログ (280件) を見る 流麗かつ恬淡とした筆致で、異界・他界との水際を描きとめる。“交換”が介在する表題作よりも、“暴力”が界面を掻き乱す「魔」のほうが個人的な好み。「果実の中の龍」は語りの水位に虚実の淡いを滲ませ、「水神」では近代史に氾濫=叛乱する存在をして、界壁を決壊させる。