東野圭吾『使命と魂のリミット』(新潮社)レビュー

使命と魂のリミット

使命と魂のリミット



 
作者の職人作家としての意地と力量を見せ付ける。ある種のモラリスティックな態度が“声高”なものにならないのは、プロットの構築性にある。コトバで語るな、“物語”で語れ。粗悪な“物語”はコトバの羅列であるということ、作者の場合、その幣を免れているのが、ミステリー作家としての洗練された手付きにある。