早瀬乱『サロメ後継』(角川書店)レビュー

サロメ後継

サロメ後継



 
ジラールの「欲望」論と、行動療法として“演劇”と、サロメ。なんとも豪奢な三大噺だけれども、力業でまとめた。「欲望」のミメーシスが暴力的なカタストロフィを招来するまで、展開は意表をついて面白い。だけれども、ホラーじゃなくて、サイコ・スリラーの領域で留まって仕上げてくれれば、もっとスリリングだったかも。