- 作者: 中村文則
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/06/12
- メディア: 単行本
- クリック: 5回
- この商品を含むブログ (15件) を見る
性的なるものが、実存の基底を構成するオーソドックスな手法を深化させるのに、作者はふたつのバイアスを用意した。それが、“罪と罰”という問題意識に還流してくる。無骨な小説がある種のスリルを感じさせるのは“時代”のせいなのだろうが、現在においてドストエフスキーの場所で安住するわけにもいかないだろう。私見では、貫井徳郎は“犯罪小説”の意識において、一歩も二歩も先んじている(高村薫よりも、ね)。作者により一層の奮起を期待。