愛川晶『道具屋殺人事件』(原書房)レビュー

本日のエピグラフ

 (前略)編集の妙とでもいうのかなあ、必要に応じて、長い噺をはしょることもできるし、短い噺をめんだい、、、、にもできる。(「勘定板の亀吉」P294より)

道具屋殺人事件──神田紅梅亭寄席物帳  [ミステリー・リーグ]

道具屋殺人事件──神田紅梅亭寄席物帳 [ミステリー・リーグ]


 
ミステリアス8 
クロバット8 
サスペンス7 
アレゴリカル9 
インプレッション8 
トータル40  


 作者復帰作(って、でもこの程度のインターバルだったらザラにあるのだけれども)は、『夜宴』『巫女の館の密室』などの“奇想”系本格ではなく、“趣向”系とでもいうべきもので、『カレーライスは知っていた』などに連なるもの。だけれども、“趣向”の妙よりも、「噺」というものが、ナラティブであるものから、テクスチュアルな手触りをもつものとして感得されるのが、面白かった。