田中秀臣『不謹慎な経済学』(講談社)レビュー

不謹慎な経済学 (講談社BIZ)

不謹慎な経済学 (講談社BIZ)


 
 クルーグマンとか、あと最近はスティグリッツのものが出たけれども、日本の経済学者って、なかなかエッセイもしくはコラム集の類は出してくれませんねえ。本書は、そんな一冊で、「経済学は、過度の競争が行われない社会や、弱肉強食化しない社会のあり方を考えるためにある」って、うれしいことを言ってくれるじゃありませんか。ショウビズやセックスなどのヤワネタから入ってだんだんとコアな部分――著者の場合は、リフレの重要性を説く、というふうに話は進んでいく。個々の論点の是非は、読者によって相違があるだろうけれども、これって、かえって自分がどれだけ合理的な人間じゃないか計られることになるのかも。んでも――アメリカの財務次官が積極的にコミットした「32兆円に及んだ円売りドル買い介入」って、これってイラク戦争の戦費調達って側面もあったでしょうに、ねぇ。