- 作者: 貫井徳郎
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2009/02/20
- メディア: 単行本
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力作、であることは間違いない。問題は物語の落とし所だと思う。具体的には言及しないけれども、作者はこの物語が要求する、不条理なるもののリアリティを、最後に潔く切り落とした。つまり、すべてが因果に還元される、その自意識の悲劇に焦点を絞った感があるのだけれども、これは小説上の賭けのように思える。要するに、“他者”(が召喚されるところ)の場所がない。この部分で、賛否が分かれるように思われる。