- 作者: 田中秀臣
- 出版社/メーカー: 日本放送出版協会
- 発売日: 2009/03
- メディア: 単行本
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私が「ロスジェネ」方面の諸言説に眉をしかめるのは、それらが全く見事なほど“運動”と“革命”しか語っていないからだ。現状に対する建設的でない批判的言説は、自己目的化というか自家中毒に陥るしかない。一部の「ロスジェネ」論者って、ネオリベと合流してるからね。で、本書はきちっと、そこらのところの倒錯ぶりを裁断しています。もちろん、基調となるのは、リフレ派からのサプライサイド構造改革主義への批判だけれども、「ロスジェネ」論に通奏低音のように流れる、オレたちにも分け前をよこせ! というシュプレヒコールは、経済成長という果実なしには、まさに朝三暮四を地で行く謗りは免れない、という左派的言説への牽制としても、読める。私は、著者が批判している金子勝のセーフティネット論にまだ説得力があると思っているけれども、いまは本当に底が抜けちゃってるから、ね。著者がブログで力説しているとおり、日銀の国債直接引き受けに、賛成ですね。