柄刀一『UFOの捕まえ方』(祥伝社ノン・ノベル)レビュー

本日のエピグラフ

 で、私はこれを書きながら思っているところだ、迷いつつ。/なかなか姿が見えないかもしれない、最後の<共犯者>とは誰なのだろうか、と……。(「見えない共犯者の作り方」P316より)

UFOの捕まえ方―天才・龍之介がゆく! (ノン・ノベル)

UFOの捕まえ方―天才・龍之介がゆく! (ノン・ノベル)


 
ミステリアス
クロバット10
サスペンス
アレゴリカル
インプレッション
トータル44


 今回の龍之介ものは、比較的取っつきやすかったです。冒頭の話の暗号は、ちょっとぉと思うけれども。推協賞候補の「身代金の奪い方」は、たぶん犯罪計画の運び方の細かいところを突っ込まれたのだと思うけれども、それでも意表を突くトリックと、その皮肉な破綻の仕方はかっちりときまっている。表題作はネタのてんこ盛り、「見えない共犯者の作り方」のコンセプトに拍手。……まあ、つまるところ、作者のトリックメーカーとしての資質が、アレゴリーの創出にうまいこと寄与するかどうか、なんですよねえ。