幻影城の住人がまた…


 SF小説、文芸評論 栗本薫さん死去 56歳
 
 大河SF小説「グイン・サーガ」のほか、ミステリー、文芸評論などマルチな才能で知られた作家の栗本薫(くりもと・かおる、本名・今岡純代=いまおか・すみよ)さんが26日午後7時18分、東京都内の病院で膵臓がんのため死去した。56歳だった。葬儀は近親者のみで行い、後日、お別れの会を開く予定。

 東京生まれ。早稲田大卒業後の1978年、青春ミステリー「ぼくらの時代」で江戸川乱歩賞を受賞。81年、本格推理「絃の聖域」で吉川英治文学新人賞を受賞した。

 また、中島梓の筆名で評論家としても活躍、純文学、漫画、サブカルチャーまで幅広く批評する一方、舞台演出、テレビドラマ脚本なども手がけ、テレビにも出演するなど多彩に活動した。

 剣と魔法の支配する異世界で、豹頭の戦士が活躍する「グイン・サーガ」は、79年にスタートし、2005年に正編だけで100巻を突破、最新刊は126巻。一人の作家による小説としては世界最長と言われる。2007年にがんが見つかり、抗がん剤治療中だった。

(2009年5月27日 読売新聞)

 
 泡坂妻夫さんに続いて、幻影城ムーブメントがまたひとり、他界された。
 栗本薫さんは『グインサーガ』のひとなんでしょうが、いうまでもなく、本格、SF、耽美小説など、80年代の“サブカル”としてのエンタメ小説シーンに、重大な足跡を残された方です。個人的には、『ぼくらの時代』は、平成“新本格”の源流のひとつであると思っています。本格的な栗本薫論を期待したいところです。
 ご冥福をお祈りいたします。