加納朋子『少年少女飛行倶楽部』(文藝春秋)レビュー

少年少女飛行倶楽部

少年少女飛行倶楽部



 なによりうれしいのは、現在の中学生の主観を描くのに、作者の従来の語り口を堅持していること。これが、コミカルな展開に、一定のリアリティをにじませて、空回りすることがない。“成長”することそのものが抱える滑稽さと瑞々しさ(青臭さではなく)を余すところなく描いた快作。