本日のエピグラフ
それが嫌なら、初めからスパイになどならなければ良い。自分には
- 作者: 柳広司
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2009/08/25
- メディア: 単行本
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ミステリアス | 8 |
アクロバット | 8 |
サスペンス | 9 |
アレゴリカル | 9 |
インプレッション | 10 |
トータル | 44 |
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スパイが、「薬物中毒者」に譬えられる。なぜだろうか。求められているのは、「何物にもとらわれず、自分自身の目で世界を見ること」、「自分自身の肉体のみを通じて世界を理解すること」である。“主体”性が強化されているのだろうか。しかし、ここで言われる「自分自身」とは、空虚でしかないものだ。というより、端的な空虚の露出。このような主体からは、「世界」とは、端的な関係性、ネットワークの束としてしか見えないのではないか。「自分自身」もまた、その結節点に過ぎないという苛烈な認識は、むしろ、“主体”の解体という自意識、換言すれば、絶対的差異としての“主体”を呼び込むだろう。このような“主体”は、“歴史”から超越しながら、“歴史”に決定的にかかわっていくに違いない。