折原一『逃亡者』(文藝春秋)レビュー

逃亡者

逃亡者


 
 最初はドキュメンタリータッチでお話がすすんでいくのですが、だんだんと倒錯者たちの輪舞曲を物騒に奏でる展開になっていきます。最後の最後まで予断を許さぬ展開は、あいかわらず安定感があるものの、「幕間」部でのはぐらかし方は、物語の構成を煩雑にしているだけという感じはある。