門井慶喜『おさがしの本は』(光文社)レビュー

おさがしの本は

おさがしの本は



 ブッキッシュ・ミステリと銘打てば、それで終わりという小説ではなく、地方政治の泥臭い部分まできっちり描く、正真正銘の図書館ミステリ。書物に関する判じ物的な味わいを全面に出している分、読者を選びそうな気もするが、それで作者の衒学的趣向が愉しめるのだから。