藤木稟『バチカン奇跡調査官 Truth2 サタンの裁き 』(角川書店)レビュー

本日のエピグラフ

 「(…)修道僧達は、いかにすれば神に近づけるかを真面目に追究した結果、神の創造物である人間の体と精神の研究にのめり込んでいったのさ。熱情的な信仰は、時に罪深いものになる。(…)」(P284より)


 
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 腐敗せぬ預言者の死体という強烈な謎を中心に、カソリックの暗黒史と邪教の蠢きを背景にした怪事の連鎖に、ふたりの「奇跡調査官」がふたたび動く。謎の解明が、さらなる狂気を浮かびあがらせるとともに、作者の筆は、聖なるものをめぐる欲望のかたちを剔抉するのに冴えわたる。