- 作者: 武田一顯
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2009/11/12
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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時の移ろいやすさを嘆くわけではないものの、ことに政談の中心は、鳩山政権のジリ貧ぶりになっているが、ワタクシ的には、お役人さんたちと大マスコミの嘘つきっぷりが、はからずも沖縄の人たちへの差別的意識を浮き彫りにして、実に興味深く見物しておりますが、そんなことよりも、昨年後半から今年にかけての政変劇とはいったい何だったかの総括をしなければ、“歴史”に立ち会ったとはいえません。さらに、TBSラジオの名物記者である著者の強みは中国通であることで、中国サイドの動きがところどころに織り込まれるのが、類書にないアドバンテージ。とりわけ、P152にあるように日中間の慣例の首脳往来で、習近平国家副主席が今年中に来ることがほぼ既定事項になっていたのだから、現在の陛下を愚弄するようなバカ騒ぎはなんなのか、ということでもあるわけで、宮内庁と御用マスコミよ。ともあれ、自民党王朝末期にあの麻生のにやけ笑いが相応しかったのかどうか、民主主義のレベルはその国の民度を超えないといわれるのがホントならば、あれは、自分たちが日本国家だと思っていた自民党内民主主義の病める象徴で、当時選挙に負けると思っていても、それほどでも、と思っていたんだろうなあ、と。ああ、小沢なき自民党よ。そして、小沢なき民主党を想像できない、ニッポンの民主政治よ。著者は、〇九年六月の日本郵政をめぐるドタバタのくだりで、「日本郵政をめぐる問題を追及してきた民主党が政権をとれば、事の真相が明らかになるはずだし、僕はそれを期待している」と書くが、著者が鳩山政権に突きつけたドスだろう。現場の政治記者のもの考え方がわかることでも、面白く読める。