門井慶喜『天才までの距離』(文藝春秋)レビュー

天才までの距離

天才までの距離



 3年ぶりですか。内容の濃いシリーズなのにさびしく感じなかったのは、作者がコンスタントに作品を発表しているからだろう。美術品、骨董品の来歴をめぐるミステリーが、人々の“物語”を照射する結構が、前作よりも強くなってきているが、人情話的なものとは違い、喜劇的な「どちらが属国」と、意表をつく“物語”のカタルシスが味わえる「レンブラント光線」がツボ。