井上夢人『魔法使いの弟子たち』(講談社)レビュー

魔法使いの弟子たち

魔法使いの弟子たち



 パンデミックに超能力。読み手が先入観を抱きやすいテーマも、鬼才の手にかかれば、安易な予断を許さない、というより、こちらの想像を蹴散らす唖然呆然の怒涛の物語に。ホラーというよりホラ話、この大法螺の大風呂敷の広げっぷりに、結末のつけ方が思いっきり大上段な説教めいたものだったらどうしようと思っていたのですが、いやきっちりとホラ話としてのスジを通してシメてくれましたよ。素晴らしい。