西澤保彦『幻視時代』(中央公論新社)レビュー

本日のエピグラフ

 「(…)『境界線』ってずばり、ミツコがどこでどうやってミツオという男に変わり、そしてまた女に戻るのか、その境目ってことでしょ」(p.84)

幻視時代

幻視時代



ミステリアス
クロバット10
サスペンス
アレゴリカル
インプレッション
トータル43


 ナイスな出来。このくらいのを、是非年一で出してほしいなあ。後半のディスカッションによる論理の展開=転回は、作者の独壇場、主人公たちのとぼけたユーモアが対になって、事件の真相をより滑稽に、より残酷に彩るが、もしかしたら、青春って存在の耐えられない軽さ、ということなのかも。