伊岡瞬『明日の雨は。』(角川書店)レビュー

明日の雨は。

明日の雨は。



 推協賞候補作の第一話「ミスファイア」よりも、その次の「柔らかい甲羅」のほうが出来がいいので、そっちで取ってほしいなあ。作者の文体が、小説を平板な学校ドラマから救っているが、もう少しミステリ的結構にこだわってくれたら、とは欲が過ぎるか。タイトルの意味性が、明示的にされないのが、小説を深くしている。