島本理生『アンダスタンド・メイビー 上・下』(中央公論新社)レビュー

アンダスタンド・メイビー〈上〉

アンダスタンド・メイビー〈上〉



アンダスタンド・メイビー〈下〉

アンダスタンド・メイビー〈下〉



 ビルドゥングス・ロマンの形式に挑戦して、自らの小説家としての膂力を試したような感がある。読み応えは十分。性的な対象物として翻弄される主人公が、超越性を希求する道程を経て、性愛の主体性を獲得するまでが、説得的に描かれる。