近藤史恵『モップの精と二匹のアルマジロ』(実業之日本社ジョイ・ノベルス)レビュー



 シリーズ初の長編は、夫婦の関係性の齟齬から生じる悲劇を描くが、渦中のふたりと主人公夫婦とを対比させることで、両者の肖像がより鮮明になっている。プロットも緊密に構成されていて、PI小説の佳品を読んだ気分。