道尾秀介『カササギたちの四季』(光文社)レビュー

本日のエピグラフ

 「(…)その美味い温州蜜柑の実が、自分の幹や根は温州蜜柑じゃないなんて悩んでいたら、笑い飛ばしてやりたくなるとは思わんか?」(「―冬― 橘の寺」p.281)

カササギたちの四季

カササギたちの四季



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トータル41


 満足。ていうか、直木賞受賞第一作が、この作品集でよかった、と本格ミステリファンのワタクシめは思う、というと多くのひとに訴求しないかもしれないけれども、作者の美質がめいいっぱいつまった小説であることは確か。文芸路線とミステリというかエンタメ路線の往還の匙加減に、しばらく気を使うだろうけれども、このアベレージを維持してほしいと思うけれども。